込んで彼女の衣類を盗んだウォンビョ。逃げる
途中で和尚に見つかり、結局は和尚が返しに
行く。その後ろ姿を見つめるウォンビョと
ケトン。彼はケトンに言う。
「ごめん。きれいな姿を見たかったんだ」
ケトンは「いつか他人のではなく自分の
絹の服を着るから」と答えた。何となくでは
あるが、そういう高貴な人が着る服を着られる
予感を強く感じるケトン。
ところで、ケトンの母は一体どうなったのか。

物乞いの親分ハサムの世話になって
粗末な掘っ立て小屋で暮らしていた。
むさ苦しい中にもハサムが自分のことを
姉のように慕ってくれるので居心地は悪く
はない。
ただ、気になるのは、やはり息子ケトン
のこと。思い切ってハサムに相談してみた。
「陰からそっと見るだけでいい。ひと目
だけでもケトンに会いたい」
ハサムは、親が子に会いたいのは当然と
言いつつ会いに行くことを許した。
後日、山の中を歩いているケトンの母。
後ろから、目配せをした男達が何人かいる。
盗賊であろう。途中、滝が流れ落ちる川で
水浴びをしようと衣服を脱いで川に入る
ケトンの母。その瞬間に、剣を持ったその
3人の男に囲まれる。彼らが彼女を袋詰め
にして、担いで走り去ろうとするやいなや
「やー」というかけ声と共に彼らの前に
立ちはだかったのは、和尚だった。彼の
見事な剣さばき、いや竹の杖さばきで、
アッと言う間に3人を倒してしまった。
袋の中から顔を出したケトンの母は、和尚
に泣きながら抱きついた。
母は、ひと目でいいからケトンの顔が見たくて
やって来たことを告げた。和尚は言う。
「顔を見れば近づきたくなる。
近づけば抱きしめたくなる。
抱きしめれば離れがたくなる。
そなたの血は熱いな。」
ケトンもその血を受け継いでいる。
母がケトンのために作った饅頭を、和尚が
ケトンとウォンビョに手渡した。
「お前達が苦労しているのを見て、ある人が
これをくださった」
二人が食べているところを、木の陰からそっと
見るめるケトンの母。思わず「あっ」と声を
出しそうになった。その気配を感じたのか、
突然、母の名を呼び続け走り出すケトン。石に
つまずいて転んだところに母は駆け寄って
力一杯に抱きしめた。
ケトンと母が一時的な再会は果たしたものの、和尚
は母に命じる。「夜になってケトンが寝たら発ちなさい」
ケトンには殺気があるので、それを消すには苦労をさせ
て母親と別れる痛みを知らないといけないのだ、という。
さて、壬辰倭乱で手柄を立てた人物がいる。
ユジョン大師である。彼は、壬辰倭乱が起こると、
すぐに増兵を集めた。チョンホ大師の元で順安で
功を立て平壌を奪還する際も大きく貢献した。
王様は彼に言う。「倭将に会うそうだな」
倭将とは加藤清正のことである。加藤清正は、
蔚山に陣を張っていたが、すでにユジョン大師
とは講和について協議していた。
ユジョン大師は、協議には慎重を期すべきで
一つでも多くのものを得るには譲歩も辞さない、
それが当然の順序との考えを持っている。
ただ、もちろん、かなり多くの民が死に、家を焼
かれたことを考えると、安易に講和すべきではないと
いう意見も一部にはある。
皇太子はユジョン大師の意見に賛成だが、皇太子の兄
であるイムヘ君は納得できない。加藤清正の捕虜となり、
辱めを受けた本人とって、講和は屈辱以外の何ものでも
ない。早く戦を終わらせたい、政治は報復ではない、
と考える皇太子とは真っ向から対立する。皇太子が
「兄の力で報復はできるのか」と聞いたとたんに
「それは皇太子や父上そして朝廷の役割だ!!」と激怒
して席を立つイムヘ君。
ところで、寺を出て行くようにとの和尚さんの伝言を、
ケトンの母は使いの者から受けた。どうしても別れが
たく、後ろ髪を引かれる思いが強いが、和尚の言葉に
従わないといけない。
外は闇夜で、しかもバケツの水をひっくり返したよう
な大雨。せめて雨がやんでからと、ケトンの母が懇願
しても、全く聞く耳を持たない和尚。
母親が出て行くのを見たウォンビョ。寝ているケトン
を起こして母が出て行ったことを伝える。ケトンも
飛び起きて門の外に出るが、もうすでに母の姿は
なかった。雨の中、呆然とする二人。
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